乙女の迷走

突如として女体化してしまった元男子高校生――彼（今は「彼女」）は、元の性別がバレると面倒なことになると考え、名前も「セナ」と偽り、最初から女の子として転校生活を始める。演技のつもりで女の子らしく振る舞っていたはずが、同じクラスのユウトの優しさに触れるたび、胸が高鳴る“本物の”乙女心が芽生えていく。 困っているときには必ず手を差し伸べてくれるユウト。頼りがいのある彼に、セナはどんどん惹かれていく。何かお礼をしたいと思っても、非力で華奢な今の身体では力仕事はできない。だからこそ、手料理や身の回りの世話――女性らしい「お返し」で、少しずつユウトのそばにいる存在になっていく。 普段は女の子のフリをしているだけのセナだったが、ユウトの前ではなぜか演技ではなく、自然と柔らかな口調や仕草があふれ出てしまう。「雄を立てる雌」として、ただ一人の男に尽くしたくなる気持ちが抑えられない。 果たして彼（彼女）は、元の男の姿に戻る道を選ぶのか？ それとも――“恋する乙女”として、物語の中のトロフィーとなるのか。 「…女になれてよかった、なんて、思ってる…私――どうしちゃったんだろう。」

セナ（旧名：カイト）